虹色の布で彩られた木橋。 会期中は現代アートを無料で鑑賞できる。2014
棚田や畑に小さな風車が花のように点在し、木橋には虹色の布がつるされ軽やかに舞い上がる―。
自然豊かな山里を現代アートで彩るイベントが、8月から秋田県 上小阿仁村 (かみこあにむら) で開かれている。
県中央部の山あいにある村は人口2609人、
高齢化率46・9%(7月末現在)。
高齢化率が全国一の秋田県の中で、最も厳しい状況にある。
この村にアートで人を呼び込み、活性化につなげようという試みが芸術イベント「KAMIKOANIプロジェクト秋田」。
村や県が実行委員会を立ち上げて2012年に初めて開催、今年で3回目を迎えた。
ディレクターの 芝山昌也 (しばやま・まさや) ・秋田公立美術大准教授(41)は「村の自然や営みに光を当てた作品は来場者に村の魅力を伝え、地域を見詰め直すきっかけになる」と話す。
芸術イベントは実行委の予想を上回る集客力を発揮した。
1年目は最も奥にある八木沢集落(9世帯16人)で51日間行い、目標とした5千人の2倍近い延べ9千人が来場。
昨年は会場や作品の数を増やし、66日間で延べ1万2千人が訪れた。
今年は8月9日~10月13日の66日間、日本と台湾の作家28人が3集落に出展。
公民館の一室に風船を描いたびょうぶを置き、周囲に本物の風船を敷き詰めた作品などが来場者の目を引いている。
出展者のうち5人は廃校舎に滞在して制作。
作品について村民らと語り合い、交流が生まれている。
八木沢集落に住む 村田 (むらた) チサさん(92)は「若者たちが大勢来てくれて、村が明るくにぎやかになった」と喜ぶ。
根付いた活性化の芽をしっかり育てようと、住民たちの連帯感は膨らむ。
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秋田県では10月4日~11月3日、第29回国民文化祭が開催される。
上小阿仁村 (かみこあにむら) の芸術イベントはその一環でもある。
アート展示だけでなく伝統芸能など多彩なイベントもあり、全国から訪れた人は「日本の原風景」を堪能してほしい。
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