【2015/09/22、産経新聞、石井豊】引用編集 【※】下に 東京新聞記事も
■来月から修理工事、30年度完成へ
童謡「通りゃんせ」の発祥の地とされる川越市郭町の三芳野神社の社殿で、10月から大規模な修理工事が行われる。
漆や彩色などがはげ落ちている本殿と弊殿、拝殿を塗り直し、江戸時代前期の明暦2(1656)年の大改修時の色彩に復元する計画。
本格的な化粧直しは弘化2(1847)年以来。
平成30年度に完成し、色鮮やかな社殿がよみがえる。(石井豊)
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三芳野神社は平安時代前期の創建とされ、太田道灌が川越城の守護として崇敬したという。江戸時代前期の寛永年間に、3代将軍家光の命により再建。明暦2年の大改修で本殿と弊殿、拝殿が一体になり、現在に続く権現造の社殿に改められた。
建築面積は計約85平方メートル。昭和30年、県有形文化財に指定された。
今回の修理は平成4年に銅板屋根をふき替え、柱や梁(はり)、建具などの木部を改修した第1期工事に次ぐ第2期工事。
朱色のベンガラ漆や黒漆、彩色などが残る本殿内陣の内部を除き、本殿外部と弊殿、拝殿の漆や彩色を塗り直し、飾り金具を補修する。
また、社殿周囲の水はけが悪くなったため、樹木の根で押し上げられるなどした石組みの排水施設を修理、排水機能を回復する。
事業費は2億円以上になる見込み。
県が2分の1、市が3分の1を補助することが決まり、残りは神社側が負担する。
今後、市民らに寄付を募る方針。
着工すると仮囲いが設置されるが、正面側は拝所を設け、中が見られる透明樹脂製の仮囲いとする。
元朝祭など年4回の行事は工事中も行われる予定だ。
同神社は再建された寛永と明暦、弘化の3回、色が塗られており、復元を目指す明暦の色について、市文化財保護課は「明暦の色彩は記録にないので、今も薄く残る色を調査し、実際の修理の中で漆をはがし、当時の色の痕跡を探す。
色が分からない場合は現状の色に戻す」と話している。
同神社修理工事委員会の委員長で、同神社宮司を兼ねる山田禎久川越氷川神社宮司は「三芳野神社は川越城の中にあり、一般の人はなかなか参詣できる神社ではなかった。
平成4年の工事で手つかずだった塗りの修復がようやくできる。
川越の観光、歴史にとって大きな出来事だ」と話し、工事への理解を求めている。
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【2015年9月27日 東京新聞】
わらべ歌「通りゃんせ」の舞台とされる川越市郭町二の三芳(みよし)野神社で十月から、社殿の塗り直しや飾り金具の修理などの大改修が行われることになった。
県と市からの補助の見通しが立ち、宮司、氏子と専門家でつくる修理工事委員会を発足。
二億円以上になる総事業費の一部に市民からの寄付も募る予定だ。
工事は二〇一九年三月終了の見込みで、鮮やかな朱漆(しゅうるし)の外観がよみがえる。 (中里宏)
三芳野神社の歴史は古く、創建は八〇七年と伝えられる。
十五世紀中ごろ、太田道真、道灌(どうかん)親子が川越城(当時は河越城)を築城した際、菅原道真を別にまつり、城の守護神にしたと伝えられる。
現在の社殿は江戸時代に入った一六二四(寛永元)年、三代将軍徳川家光の命で川越藩主酒井忠勝が造営。
一六五六(明暦二)年の大改修で屋根を除いてほぼ現在の姿になったとされる。
本殿・幣殿・拝殿がつながった県内で最初期の権現造り(約八十五平方メートル)で、江戸の著名な棟梁(とうりょう)たちが施工に関わった貴重な建物として、県文化財に指定されている。
川越城は江戸の北を守る要衝にあり、幕府の重臣が代々城主(藩主)を務めてきた。
三芳野神社は城内にあるため、一般庶民は許可がなければ参拝できず、帰りには所持品を厳しく調べられたという。
この言い伝えから「行きはよいよい帰りは怖い」と歌う「通りゃんせ」が生まれたとの説がある。
工事は社殿の外側を朱漆、内部を朱漆と黒漆で塗り直し、ところどころ脱落している飾り金具(銅に金箔(ぱく)張り)を修復。
彩色も可能な限り復元する。
社殿外側の石組みも修整して排水機能を回復する。
工事中は仮囲いの外側に礼拝所と浄水を配置し、年四回の行事も行う。
同神社は一九八九年から三年かけて建物部分の半解体工事を行っており、今回の第二期工事で「平成の大修理」が完結する。
同神社宮司を兼ねる川越氷川神社の山田禎久(よしひさ)宮司は「手付かずだった塗り部分の工事をすることで、社殿が麗しく豪華に修復される。
川越の観光や歴史にとっても大きな出来事になると思う。
横断歩道のメロディーとして親しまれている『通りゃんせ』と三芳野神社の歴史が多くの人の中でつながれば」と話している。
三芳野神社は日曜日のみ公開。「通りゃんせ」は神奈川県小田原市の菅原神社にも発祥の説がある。
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