各地から持ち寄った人たちが連結した「ツナガルベンチ」 |
伊勢神宮の式年遷宮に良質なヒノキを納めてきた岐阜県中津川市 付知 (つけち) 町。
「御神木のまち」は、木製品で人や地域をつなぐ試みを進めている。
けん引役は製材、木工事業者4社でつくる「つながるベンチの会」。
連結できる「ツナガルベンチ」(長さ70センチ)を昨年春から分業で生産・販売している。
1脚5千円。お祭りなどでベンチを持ち寄りつなげ、連帯感やにぎわいの創出につながればとの狙いだ。
きっかけは毎年春に開く木工市「つけち 森林 (もり) の市」だった。
20年以上続いてきたが、悩みはマンネリ化。
木のぬくもりを生かし人との交流を促し深める機会をつくりたいと、ベンチに着目した。
昨年行った初のイベントには、岐阜県だけでなく近畿や四国からも賛同する人が参加。
200脚以上がつながり、長さは約140メートルに達した。
座面の装飾は自由だ。買った人が絵を描いたり、彫刻をほどこしたりして「オンリーワン」を作る。
事務局の 早川泰輔 (はやかわ・たいすけ) さん(48)は「若い人には(思いを示す)アイコンだね。
友達同士で『ずっと』『一緒』と言葉を書いて、つなげるケースもある」と話す。
材木には針葉樹のスギやヒノキ、広葉樹のクリやサクラを使う。
「針葉樹と広葉樹が交じった森は落ち葉で養分が豊富。
山の豊かさを下流域に伝えるために、両方を使いたい」との思いからだ。
ベンチの会員らは、小中学生に木の扱い方を教える「木工教室」も開く。
教材のベンチ約300脚は、ベンチの会が無償で提供した。
子どもたちが自然と文化に触れ、楽しむ機会を通じて地域を愛する心を育んでもらえればとの願いがこもる。
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